カナダでの運転は、日本と異なる環境に適応するため、いくつかの特別な準備が必要です。
特にオンタリオ州などでは、厳しい冬季に積雪や氷結が日常的に発生し、雪道や凍結路の運転が大きな挑戦となります。寒さでアスファルトが割れ、路面に穴ができやすいため、慎重な運転が欠かせません。
安全な冬の運転のためには、冬用タイヤや低温対応のウォッシャー液、そして雪かき道具や非常用キットの準備が不可欠です。
この記事では、カナダの冬の道路事情と、必要な事前準備について詳しく解説します。
目次
冬用タイヤの重要性
日本の温暖な地域ではあまり必要とされない冬用タイヤですが、カナダ(私の住むオンタリオ州)の冬には欠かせません。カナダの多くの地域で、保険会社が冬用タイヤの装着を推奨しているだけでなく、義務付けている場合もあります。
例えば、私の場合は、12月から3月末までの期間中に冬用タイヤを装着することで、保険料が5%割引されました。この割引があるかどうか、保険会社に確認すると良いでしょう。
冬用タイヤは雪や氷上でのグリップが強く、通常のタイヤよりも柔らかいゴムが使用されているため、低温でも硬化せずにしっかりと路面を捉えます。これにより、滑りやすい路面でも安定した運転が可能になります。
低温対応のウォッシャー液を用意しよう
低温対応のウォッシャー液
カナダの冬は厳しく、気温がマイナス20度以下になることも珍しくありません。そのため、通常のウォッシャー液では凍ってしまい、いざという時に使えなくなることがあります。
「Windshield Washer Fluid」と呼ばれる低温対応のウォッシャー液を使用することで、極寒でも凍らず、いつでも視界を確保することが可能です。
冬が近づくと、スーパーやガソリンスタンドなど至る所で『Windshield Washer Fluid』を見るようになります。商品には「マイナス〇〇度まで耐えられる」と記載があるので、温度を確認して購入して下さい。
ウォッシャー液の入れ方
1. ボンネットを開ける
まず、車のボンネットを開ける必要があります。通常、運転席の下にあるレバーを引いてボンネットを開ける仕組みです。ボンネットを開けた後、支柱を使って安全に固定してください。
2. ウォッシャー液のタンクを探す
ボンネットの内部にはいくつかのタンクやコンポーネントが見えます。ウォッシャー液のタンクは通常、透明または半透明のプラスチック製で、液体が中に入っているのが見えることが多いです。
3. 特徴的なキャップを確認
ウォッシャー液タンクのキャップには、フロントガラスに水をかけるアイコン(噴射される水滴のマーク)が描かれていることが一般的です。このアイコンが目印となります。
4. キャップを外す
キャップを反時計回りに回して外し、ウォッシャー液を補充します。適切な量のウォッシャー液を注いでください。
5. キャップを閉める
ウォッシャー液の補充が完了したら、キャップを元の位置にしっかりと戻し、時計回りに回して閉めます。
6. ボンネットを閉める
支柱を元に戻し、ボンネットを慎重に閉めてください。
ボンネットは、最後まできちんと閉めてください。中途半端のままだと、数時間後に車から警報が鳴り出す可能性があります(この警報は、車の開け閉めボタンで止めることができます)。
以上が手順となります。この準備をしっかり行うことで、運転中に泥や雪がフロントガラスを覆った際もすぐにクリアな視界を確保できます。
雪かき道具を車に積んでおく
カナダでは、突然の大雪で車が雪に埋もれてしまうことがよくあります。そのため、スノーブラシやスノーショベルなどの雪かき道具を車に常備しておくことが重要です。駐車場で車が雪に覆われたときや、家から出る際の道路確保のために役立ちます。
夜中に雪が積もり、翌朝、雪に車が埋まっていた!なんてことはよくあります。事前に天気予報をチェックし、何センチくらいの雪が積もるのかを把握しましょう。
スノーブラシ:車についている雪を落とす
スノーブラシは、フロントガラスやボディに積もった雪を取り除くのに便利ですが、使い方には注意が必要です。
冬場は、雪と氷で車が覆われますが、スノーブラシの先端部分(尖っている方)は、車の塗装部分には絶対に使用しないでください。私は、車の側面の塗装部分が凍っていたので、ブラシの先端部分でガリガリと削っていたら、氷だけでなく、塗装まで傷つけてしまいました。
スノーブラシで塗装を傷つけないように!
私の経験ですが、スノーブラシの先端で車の塗装部分の凍った氷を削ろうとして、塗装まで傷つけてしまいました。以下、スノーブラシで車の塗装に傷をつけてしまった画像です。
塗装(ペイント)の修復には1枚あたり、200(インド系ショップ)~600ドル(地元大手ショップ)ほどかかるため、ブラシの使用方法には気をつけることをおすすめします。
依頼するプレートの枚数次第で割引がもらえたりします。
車の塗装について知っておきたいのは、ペイント会社と修理工場は別のサービスであることです。オフィシャルディーラーでペイントを依頼すると、通常、提携している高額なペイント専門店を紹介されるため、自分で探す方がコストを抑えやすいでしょう。
また、塗装を施すと、オリジナルペイントではなくなるため、再販時の価格が変動する可能性もあります。傷がある場合も再販価格に影響しますので、塗装の費用や影響を見極めながら判断することが大切です。
傷の大きさやその他の不具合(錆など)にもよりますが、短期でその車を売る予定がなく、再販価格も気にならない、その車を気に入っている場合は、塗装してもいいのかなと思っています。
スノーショベル:道路の確保
車周辺の雪を取り除く際に使用します。様々なサイズがあります。
私は車庫に1つ大きめのものを、車内に1つ小さめのサイズを常備しています。
非常用キットも忘れずに
カナダの厳しい冬では、予想外の事態に備えて非常用キットを車に積んでおくことも大切です。非常用キットには以下のようなものが含まれると良いでしょう:
- ブランケット:エンジンが止まったときでも、体温を保つために役立ちます。
- 懐中電灯と予備電池:夜間や視界が悪い時に便利です。
- 携帯電話の充電器:長時間の待機中に通信手段を確保するため。
- ジャンプケーブル:低温でバッテリーが上がってしまった時に他の車から電力をもらうための道具。
- スナックと水:渋滞や予想外の事態で長時間車内で過ごす場合の備え。
これらの備品を常に用意しておくことで、カナダの厳しい冬でも安心して運転が可能です。
CAA(ロードサービス)がすぐに来てくれない場合もあります。交通渋滞に巻き込まれた際や、雪にハマってしまった場合に有効ですね。
雪道運転時のテクニック
雪道や氷上での運転にはいくつかのコツがあります。以下は、カナダの雪道で安全に運転するためのポイントです:
- スピードを落とす:通常よりもゆっくりと走行することで、滑りやすい路面でも安定性を確保できます。
- 急ブレーキや急ハンドルを避ける:突然の操作は車がスリップする原因になります。滑り始めたら慌てずに、車の動きに合わせて慎重に対応しましょう。
- 車間距離を十分に取る:雪や氷でブレーキ距離が延びるため、前の車と安全な距離を保つことが重要です。
- 4WDやAWDを活用する:雪道では4輪駆動や全輪駆動の車が有利ですが、過信せず、状況に応じて慎重に運転することが必要です。
車体が軽い2ドアやセダンだと、雪道と風に煽られてハンドルを取られることがあります。冬場に備え、あえてSUVやピックアップトラックを購入するのもありだと思います(ガソリン代はかかりますけどね)。
まとめ
カナダでの冬の運転は、日本では経験できない雪や氷の状況が常にありますが、事前にしっかりと準備しておくことで安心してドライブを楽しむことができます。冬用タイヤや低温対応のウォッシャー液、雪かき道具、非常用キットを車に積んでおくことが重要です。また、雪道での運転技術を身につけ、安全な車間距離とスピードを守ることも心がけましょう。
カナダの冬は確かに厳しいですが、準備を万全にしておけば、冬ならではの美しい風景やドライブを楽しむことができます。