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カナダでも今なお見るGM Pontiac(ポンティアック)

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 カナダで暮らしていると、時折見かける古い車が気になることがあります。なかでも、私の目を引くのが”Pontiac(ポンティアック)”というブランドの車です。GM(ゼネラル・モーターズ)の1ブランドとして長く親しまれたポンティアックは、すでに2010年に生産を終了したはずですが、今なおカナダの街中や郊外でちらほらと走っているのを見かけます。

 今回は、なぜポンティアックの車がカナダで今でも走っているのか、そしてその背景や魅力について、詳しく掘り下げてみたいと思います。

わさび

私はカナダに来てから、初めてポンティアックというブランドの存在を知りました。ガソリンスタンドで見かけたSunfire、そして道路を走っていたGrand Amその特徴的なデザインを目にして、『この車はいったい何なんだろう?』と強く印象に残ったのを覚えています。

ポンティアックとは?

 ポンティアックは1926年にアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)のブランドとして誕生しました。当初は高品質ながら手頃な価格を売りにした車を提供していましたが、1960年代に入ると一気に”若者向けのスポーツブランド”としての地位を確立します。

 代表的なモデルには、世界初のマッスルカーとも称される”GTO”や、テレビドラマ『ナイトライダー』で一躍有名になった”Firebird Trans Am”があります。

 しかし、時代の流れとともにブランドの方向性があいまいになり、2000年代にはGM内の他ブランド(ChevroletやBuickなど)との違いが見えにくくなっていきました。そして、2008年のリーマンショックとGMの経営破綻により、ポンティアックは2010年に廃止されることになりました。

なぜPontiacは生産終了になったのか?

  • 1. リーマンショックによる世界的な経済不況(2008年)
  • 世界中の自動車販売が落ち込み、GMの売上も急減。
  • 多くの工場が稼働停止となり、コスト削減が急務に。
  • 2. GM自体が経営破綻(2009年)
  • GMは2009年にアメリカ政府の支援を受けて連邦破産法第11条を申請。
  • アメリカ政府からの救済(公的資金投入)の条件として、ブランドの整理と再構築を求められた。
  • 3. ブランドの数が多すぎた
  • 当時のGMには以下のような多数のブランドが存在。
メインブランド備考
Chevrolet(シボレー)大衆車
GMC商用・大型車
Cadillac(キャデラック)高級車
Buick(ビューイック)ミッドクラス、高齢層向け
Pontiac(ポンティアック)スポーティー、若者向け
Saturn(サターン)革新的な小型車
Hummer(ハマー)軍用風SUV、燃費が悪い
Saab(サーブ)スウェーデンの高級車
わさび

これらのうち、収益性の低いブランドは廃止されることに。 Pontiacは「特徴が薄くなっていた」「利益率が低かった」とされ、整理対象になりました。

カナダでも生産されていた?

 実はポンティアック車の一部は、カナダ国内でも生産されていました。オンタリオ州オシャワのGM工場などでは、”Sunfire”や“Pursuit”(カナダ限定モデル)などが製造されており、当時多くのカナダ人にとって身近なブランドだったそうです。

 カナダ市場ではポンティアックは非常に人気があり、手頃な価格とスポーティなデザインで多くの家庭に受け入れられてきました。特に学生や若い世代に人気があり、「初めてのマイカーがSunfireだった」という人も当時は多かったと考えます。

“The Pursuit is offered exclusively in Canada. In the U.S., the Cobalt is marketed under the Chevrolet name only.”
(Pursuitはカナダでのみ販売されています。アメリカでは、同じ車がChevroletブランドのCobaltとして販売されています。)

Pursuit詳しくはこちら

なぜ今でも見かけるのか?

 ポンティアックが生産終了から10年以上経った今でも見かける理由は、いくつかあります。

耐久性と部品の入手のしやすさ

 GM系列の車はプラットフォームや部品を共有していることが多く、ポンティアック車もシボレーなどと多くのパーツを共有しています。そのため、故障しても部品交換が比較的容易で、長く乗り続けやすいです。

プラットフォームの共通化
  • たとえば「Pontiac G5」は、「Chevrolet Cobalt」とほぼ同じ車体構造・エンジン・足回り。
  • 「Sunfire」は「Chevrolet Cavalier」と同じJプラットフォーム上で作られている。

カナダ人の車の乗り方

 カナダでは、車を大切に長く使う文化があります。日本のように”5年で買い替え”という感覚はあまりなく、10年以上同じ車に乗る人が多いです。特に郊外では整備しながら古い車を使い続けるケースが多く、ポンティアック車もその例外ではありません。

思い入れとノスタルジー

 FirebirdやGTOなどは今やクラシックカーとしての価値もあり、趣味で保有している人も多いです。また、自分の若い頃に乗っていた思い出の車を大事にしているというケースもあります。

わさび

ファイヤーバードやGTO愛好家による集会に参加する機会があればぜひ参加してみたいと思います。

実際にカナダで見かける代表的なPontiacモデル

モデル名特徴
Grand Am写真にも写っていた中型セダン。街中で見かける
G5 / Pursuitコンパクトで燃費も良く、通勤車として人気
Sunfireシンプルな小型車。学生や初心者に人気だった
Montanaファミリーミニバン。地方でまだ現役も多い
Firebird稀にクラシックカーイベントで登場する

CobaltとPursuitの関係

  1. 初期は「Pontiac Pursuit」としてカナダ限定販売。
  2. 後に「Pontiac G5」として北米で展開。
  3. どちらもベースは「Chevrolet Cobalt」。
ブランドモデル名市場備考
ChevroletCobaltアメリカほかGMのコンパクトカー。2004年〜2010年頃に販売。
PontiacPursuitカナダ限定Cobaltの兄弟車としてカナダ市場のみで販売。
PontiacG5カナダ・アメリカ一部後期型Pursuitの名称変更。2007年頃から登場。

2005年モデルまでが「Pursuit」という名称で販売され、2006年後半以降は「G5」に名称変更されています。つまり、「Chevrolet Cobalt = Pontiac Pursuit / G5」という関係です。

まとめ

 Pontiac(ポンティアック)は、かつて若者向けのスポーティーな車として一時代を築いた存在だったようです。リーマンショックやGMの経営破綻により惜しまれつつも生産終了となりましたが、今でもその姿はカナダの街角に生きています。

 中古市場で出会う一台、クラシックカーイベントに現れる一台、あるいは日常の通勤路でふと目に入る一台。それぞれの車が持つ歴史や記憶は、単なる車を超えた価値を私たちに感じさせてくれます。

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怠惰なわさび
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