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カナダでは婚前契約は一般的?財産分与はしない?弁護士費用はいくら?

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結婚を前にすると、誰もが未来の幸せな生活を想像しますよね。新しいスタートに心躍らせる一方で、現実的な視点からも考えないといけないことがいくつかあります。その一つが、カナダで(よく)話題に上る「婚前契約」です。「え?そんな契約が必要なの?」と驚く方もいるかもしれませんが、実はカナダではこれが意外と一般的なんです。

特に財産や資産を持っている人々にとって、婚前契約はリスク管理の一環として大切な要素です。今回は、そんな婚前契約について、私の周りのエピソードを交えながら、その実情を掘り下げていきます。ちなみに、主に婚前契約を結んで欲しいと言われた側からの立場に立って書いています。

*もし、あなたが婚前契約書を前にしてどうするかを悩んでいるならば、近くのファミリーロー専門家(弁護士)へ相談することを強くお勧めします。

わさび

婚前契約は、Prenuptial agreementやMarriage contractと言ったりします。

カナダでの婚前契約の実情

カナダで婚前契約はどれくらい一般的?

カナダでは、日本に比べて婚前契約が普及していると言われています。多文化社会であるカナダでは、さまざまな価値観や背景を持つ人々が生活しているため、結婚前に財産をどう守るかを考えるのはごく自然なことらしいです。

特に、家やビジネスを持っている場合、婚前契約はそれらの資産を保護するための重要なツールとなります。

日本では結婚は愛情や信頼を基盤とするもので、財産の取り決めについて話し合うことはタブー視されがちです。しかし、カナダでは、結婚は個々の権利や財産を尊重し、将来のリスクを管理する手段として捉えられています。

わさび

上記の内容は、あくまでも私調べとなります。また、日本よりも普及しているといっても、全てのカップルが締結するわけではないと思います。

婚前契約を考える理由

財産や資産を守るための手段

婚前契約を求める人々の多くは、既に一定の財産や資産を所有しています。特に、結婚前に不動産やビジネスを所有している場合、婚前契約を重要視する傾向があります。こうした人々にとって、婚前契約は財産を守るための重要なツールとなります。

わさび

この書類は、どちらか一方のためのものではなく「2人のための婚前契約書を作ること」がゴールとなります。

カナダでの婚前契約のメリット

カナダで婚前契約を結ぶことには、いくつかのメリットがあります。婚前契約は、離婚時に財産分与のプロセスを簡略化する役割を果たします。結婚前に資産の取り扱いを明確にしておくことで、離婚時にお互いの主張がぶつかり合うことを避けることができ、スムーズに問題を解決することができます。

また、婚前契約は、お互いの期待値を事前にすり合わせるためのツールとしても機能します。結婚に際して、財産の取り扱いについて明確にしておくことで、お互いが同じ視点を持ち、将来的な誤解やトラブルを防ぐことができます。

婚前契約を求める人々の共通点は、財産や資産を既に持っていることです。特に、結婚前に家を所有している人がこの契約を重要視する傾向にあります。どの国からの移民であるかや、外見、年齢に関係なく、資産を持つ人々にとって婚前契約は自分を守るための手段となります。

わさび

フランス系カナダ人の友人がカナダ人の家持ちの男性と付き合っていた時の話です。彼女は婚前契約を提案され、それを拒否した結果、関係が終わったとのことでした(終わらせたのかもしれません)。彼女はその後も、数回婚前契約が原因で別れることになったと話していました。彼女曰く「だってあなたは家を持っていないでしょ」と言われた時の悲しさや怒りは相当だったと言っていました。

婚前契約を結ぶ際のポイント

婚前契約を提案する(される)タイミング

婚前契約を提案するタイミングはカップルによって異なります。早い段階で婚前契約について話し合うカップルもいれば、結婚の直前になって突然話題に出ることもあります。どのタイミングであっても、重要なのは冷静に対応し、自分の気持ちや意図をしっかりと伝えることです。

結婚の直前に婚前契約を提案される場合、相手がぎりぎりまで言い出せなかった理由があるかもしれませんが、時間に迫られてサインをするのは避けるべきです。このような場合、冷静に相手の意図を理解し、自分自身の気持ちや意見を尊重することが大切です。また、必要であればプロの意見を求めることも考えましょう。

わさび

個人的に結婚直前に契約を迫ってくる人に、あまり良い印象を抱きません。もちろん内容次第でしょうが、「今後も大事なことを後回しにする人」だと思って疑心暗鬼になります。

婚前契約の内容とその進め方

主な内容

婚前契約の内容は主に財産に関するものが中心ですが、具体的な内容はカップルごとに異なります。主な内容としては、結婚前に所有していた財産の取り扱い、結婚後に得た財産の分配、そして将来的な離婚時の財産分与に関する取り決めなどがあります。

カナダでは、日本と同様に結婚前の財産は個人の所有物とされ、結婚後に得た財産が共同財産となります。しかし、結婚前に所有していた財産をどのように扱うかを明確にしておくことで、将来的な不安を避けることができます。

例えば、結婚前に所有していた家を結婚後に売却し、その資金を新しい家の購入に充てる場合や、結婚前の個人資産を共同財産として使用する場合などが考えられます。こうしたケースでは、婚前契約を通じて事前に取り決めをしておくことで、万が一(離婚)の時にスムーズに対処できるようになります。

わさび

あなたがサインを求められている側で「資産」が多くない場合は、あなたが負う可能性のある「債務」に注目してみてください。

進め方

婚前契約を進める際には、まず一方の弁護士が契約書の草案を作成し、もう一方がその内容をレビューします。お互いに加筆や修正を行い、最終的に両者が納得できる内容になるよう調整していきます。最初に提示される内容はあくまで「案」であり、これを元に二人の意見をすり合わせていくことが重要です。

また、婚前契約は二人の将来を守るためのものであり、どちらか一方に有利な内容に偏らないようにすることが大切です。お互いの意見を尊重し、納得のいく形で契約を結ぶことが、結婚生活の安心につながります。

一番最初に受け取った書類は、あくまでも先方から提示された「案」です。「あれもこれもと書かれてある!」と不快に思うかもしれませんが、あくまでも「初回案」です。不要だと思う箇所、加えて欲しい箇所など、どう解釈するのかなど、パートナーおよび弁護士と話し合いをしより良いものにしていきましょう。

弁護士のサポートを活用する

婚前契約を結ぶ際には、弁護士の助けを借りることをお勧めします。弁護士にはそれぞれ専門分野があり、ファミリーローに詳しい弁護士を選ぶことが大切です

自分を守るためには、相手とは別の弁護士を雇うことが重要です。同じ弁護士を共有することは利益相反(conflict of interest)に繋がるため、通常は避けるべきです。

弁護士費用は、(初回の相談料を除く)書類作成だけでも約2〜3,000ドル、相手弁護士との調整を含む場合は約4,000ドルが相場のようですね(私調べ)。

まれに、専門外でも対応してくれる弁護士が安価で請け負うこともありますが、自分の将来を守るためには、信頼できる専門家を選ぶことが重要です。

わさび

専門弁護士(ファミリーロー弁護士)にレビューしてもらうことをお勧めします。不動産専門の弁護士が安く婚前契約を作成したりすることもありますが、最終的にどの弁護士に依頼するかはご自身の判断に基づいてください。

婚前契約に対する個人的な感想

日本で婚前契約はあまり一般的ではないため、相手から言われた際、始めは受け入れがたいと感じる方も多いかもしれません。財産目当てで結婚するわけではないのに、お金目当てに見られているようで非常に不快に感じることもあるでしょう。

まずは自分の正直な感想を相手に伝えることが大切です。冷静に、今の気持ちをしっかりと相手に伝えることで、お互いの理解を深めることができます。

もし、婚前契約が原因で別れることになったとしても、それは自分の気持ちを守るための決断です。一方で、別れたくない場合は、しっかりと自分の弁護士を雇い、サインすることで関係を続けることができます。婚前契約は、あなたとパートナーの将来を守るための一手段に過ぎません。

わさび

カナダも、日本と同様に結婚前の財産は個人の所有物とされ、結婚後に得た財産が共同財産となります。ただ、結婚前に資産を持っている人の割合が、日本より多いかもしれません。契約を出された=愛情が少ないわけではありませんし、相手があなたを愛していることには変わりません。冷静になることが一番です。契約内容を見てから判断しても遅くはありません。がんばって!

まとめ

カナダでは、婚前契約は全てのカップルにとってあたりまえというわけではありませんが、日本よりは普及していることは確かです。特に財産や資産を既に持っている場合、将来のリスクを管理するために婚前契約を結ぶことが一般的です。

婚前契約を求める人は、早い段階でその意向を示すことが多いですが、結婚の直前に持ち出されることもあります。どのタイミングであれ、重要なのは自分の気持ちを正直に伝え、必要であれば弁護士を通じて自分を守ることだと思います。

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怠惰なわさび
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