自分の知らない世界が、点心という小さな料理の中にこんなにも広がっていることに驚き、今回のブログに書き留めることにしました。きっかけは、夫が「包(バオ)が食べたい」と言い出し、地元のレストランへ出かけたことから始まります。
夫によると、伝統的な中国の包子(バオズ)は、ひだの数が「十八」と決まっているそうです。カナダの点心店で包子を購入するたびに、彼は必ずひだの数を確認していました。また、手作業で作られた包子と機械で作られた包子では見た目が異なるらしく、すぐに見分けられるようでした。写真向かって左が手作業で作られた包子、右が機械で作られた包子とのことです。
例えば、右側の包子はひだの数が十二しかなく、夫は「これはダメだ」と少し不満げでした。一方、左側の包子は十八のひだがしっかりとつけられており、手作業の繊細さが感じられると満足げでした。
点心とは
点心とは、中国で生まれた軽食文化の一つで、主に小麦粉や米粉を使った食品を指します。その歴史は長く、古代中国の茶館で供された軽食がその始まりとされています。
「点心」という名前は禅語『空心(すきばら)に小食を点ずる』からきたという説や、心に点をつけることから心に触れるものと言う説があります。
点心の起源と歴史
点心の言葉は(中国)南宋時代(1100年代初期)に初めて文献に登場します。「能改斎漫録」には「俗間で早朝の小食を点心と呼ぶ」と記録されており、この言葉の起源は唐代に遡るとされています。また、「東京夢華録」では、点心が飯や粥と区別されており、主に軽食や副食的な役割を果たしていました。
その後、(中国)清代(1792年)の料理書「随園食単」には、点心として55種類の料理が紹介されています。蒸し料理や焼き菓子、麺類、団子などが含まれ、現在の点心に近い多様な料理が見られるようになりました。
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日本への伝来
日本には江戸時代後期(18世紀末)に中国から伝わり、当時の料理書にも点心が記載されています。「卓子式」や「清俗紀聞」などの文献には、肉饅頭、包子、樵(お餅のような料理)などが点心として紹介されています。
明治以降、中華街の発展とともに点心文化が広まりましたが、日本では「間食」や「甘味」としてのイメージが強調され、蒸し器を用いた本格的な点心文化は一部に限られています。
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ざっとわかった点心一覧
一口サイズ
餃子
中国の餃子は、日本の餃子と比較して皮が厚く、中にたっぷりと汁が詰まっています。種類も豊富で、焼き餃子、水餃子、蒸し餃子があります。
日本では焼き餃子が主流ですが、中国では蒸し餃子が一般的で、家庭には必ず蒸し器が一台あると聞きます。また、中国では餃子が主食とされており、日本のようにご飯と一緒に食べる習慣はありません。
小籠包
小籠包はスープが皮の中に閉じ込められた小さな包子で、食べるときには中のスープを一緒に楽しむのが特徴です。蒸し器で蒸した後、醤油や酢で味付けをすることが一般的です。
焼売
主に挽肉や野菜、調味料を小麦粉で作られた薄い皮で包み、蒸して仕上げた点心です。焼売の特徴は、底が平らで上部が少し開いた形状です。皮の中身が見えるようになっており、見た目も楽しむ点心のひとつです。日本でも中華料理の定番として親しまれています。
少し大きめのサイズ
饅頭(Bun)
具なしの点心は”Bun”と呼ばれ、主食としてそのまま食べることもあれば、中に具材を挟んで食べることもあります。
包子(Bao)
包子は、中に具材が詰められた点心で、豚肉や野菜が主流です。特に包子のひだの数にこだわるのが中国の文化です。
有名なお店
中国本土で有名な点心専門店の一つに”狗不理(Goubuli)”があります。カナダにもその店舗があり、ダウンタウンとリッチモンドヒルの2店舗で点心を楽しむことができます。
店舗内には、中国本土の店舗に訪れた有名人の写真がたくさん飾られており、その歴史と人気の深さを感じることができます。
まとめ
奥が深いんだなと感じました。餃子や小籠包みたいに馴染みのあるものだけじゃなく、包子や饅頭のようにに見た目や作り方が違うものもあり、それぞれに面白い背景があります。
次に点心を食べるときは、ただ「美味しい!」と食べるだけでなく、手作りなのか、ひだの数がいくつあるのか、いろいろと観察したいと思いました。