結婚を機に、私の車が不要となり、使わない車を持ち続けるのは非効率だと感じたため、売却を決意しました。
今回は、その売却経験を通じて学んだことを共有したいと思います。また、今回はカナダの中古市場でどのようにリセールを行ったかについても書いていきます。
私が個人売買で売却したのは、2011年製のHondaで、走行距離は15万キロでした。Facebook Marketplace(個人売買プラットフォーム)に掲載してから10日後、無事に約90万円で売却することができました。
2011年製の車が90万円というリセール価格についての評価は人それぞれでしょう。「高く売れた!」と感じる人もいれば、「まあまあ」と思う人、あるいは「安く売りすぎでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、私個人としては、この取引に非常に満足しています。
市場価値や個人の期待値によって感じ方が異なるため、最終的には「問題なく」、自分が満足できる価格で売れたかどうかが大切だと思っています。
中古車市場の概要
カナダの中古車市場の特徴
カナダの中古車市場は非常に活発で、多くの人々が中古車を選択しています。特にオンラインプラットフォームの普及が市場の活性化に大きく寄与しており、これにより、個人間の取引が非常に盛んになり、ディーラーを介さずに直接取引が行われるケースが増えています。
個人売買の増加により、売却者はより高い価格で車を売るチャンスが広がり、購入者も多様な選択肢から自分に合った車を見つけることができます。
人気のある日本の中古車
人気の大衆車
トヨタやホンダの車種は特に人気が高く、耐久性と信頼性で評価されています。トヨタの「カムリ」や「カローラ」、ホンダの「Civic:シビック」、マツダの「マツダ3:日本のデミオ」などはその代表例です。
大衆車のリセールバリューは大きく値崩れしない印象です。
日本車は値下がりしにくく、20万キロを超えても高い価格で取引されることが多いです。中古で購入し、数年使用した後に購入価格と同じ値段で売れるという現象はよく起きています。この高いリセールバリュー(再販価値)は売却時に大きなメリットとなります。
レア車の場合
あまり市場に出回らない「レア車」も値崩れしづらい傾向にあります。レア車の場合は、個人売買必須です。ディーラーに持っていくと、価値が「限りなくゼロ」と言われてしまいます。
Hondaのインテグラなど、購入する時点で、車好きをターゲットに再販することを念頭に置いていけば、購入価格そのままで売ることも(高値でうれることも)可能です。
車の売却先はどこにする?ディーラー vs. 個人取引のメリットとデメリット
まず、ディーラーに売るのか、個人間取引をするのかを決めなければなりません。高い価格を求めるなら個人に売るのが最適ですが、安全性と手間を考慮するとディーラーに売るのがより簡便で安心です。状況や優先事項に応じて、どちらの方法が最適かを判断するのが良いでしょう。
オフィシャルもしくは中古車専門のディーラーに売る
値段
メリット:ディーラーに売る場合、迅速かつ簡単に売却できるため、時間と手間が省けます。
デメリット:ディーラーは利益を確保するため、個人売買よりも低い価格を提示する傾向があります。通常、市場価値の下限での買取になります。
安全面
メリット:ディーラーとの取引は安全で信頼性が高く、詐欺やトラブルのリスクが少ないです。支払いも確実で、手続きもスムーズです。
デメリット:特に目立ったデメリットはありませんが、ディーラーによっては評価が厳しくなることもあります。
Hondaディーラーに下取り価格を聞いたところ、査定結果は30万円といわれました。思ったよりも低い金額だったので、少しでも高く売りたいという気持ちが強まり、個人売買を選択することにしました。
個人間で売る
値段
メリット:個人に売る場合、ディーラーよりも高い価格で売却できる可能性が高いです。また中古車を個人間で売買する場合、買い手は消費税は払う必要がありません。
デメリット:買い手を見つけるのに時間がかかることがあり、交渉や試乗の対応など手間がかかります。
安全面
メリット:直接取引のため、条件に満足した場合、迅速に取引を進めることができます。
デメリット:詐欺や未払いのリスクがあり、相手の信頼性を確認する必要があります。支払い方法に注意が必要です。
年式、走行距離に応じた概算値をだしてくれます。査定だけでも利用可能です。
車を売る際の手続きと注意点
個人売買で使用したプラットフォーム
私は2つのプラットフォームに車を売りに出しました(リスティング)。最終的に、Facebook Marketplaceを通して車を売ることができました。
Auto Trader https://www.autotrader.ca
Facebook Marketplace https://www.facebook.com/marketplace/
Auto TraderよりFacebookの方が使用している人口が多いので、リスティング後の反応が良いです。
私の場合、Facebookリスティング後の1週間で、30件以上の問い合わせがきました。FacebookだとMessengerでのやり取りとなります。
CARFAXレポートで安心取引
買い手から、「CARFAXは持っているか」と聞かれることがあります。CARFAXとは、中古車の履歴情報を提供するサービスです。CARFAXのウェブサイトへ飛びます。
カナダおよびアメリカの車両に関する詳細なレポートを提供し、事故歴、修理履歴、所有者数、走行距離などの情報を閲覧できます。これにより、購入者は中古車の信頼性や価値を正確に判断することができ、安心して取引を行えます。
私はリンク先からCARFAXを購入しました。購入すると、リンクが送られてきます(もしくは購入後に表示されたリンク先)。交渉中に買い手から「CARFAXを見たい」と言われたら、そのリンクを送っていました。
Safety Certificateの重要性と取得方法
買い手から「Safety Certificateを準備できますか?」と聞かれることがあるかもしれません。このSafety Certificateは、車が安全に道路を走行できることを証明する重要な書類です。Canadian Tireなどの施設で検査を受け、証明書を発行してもらうことができます。
個人売買の場合、売り手であるあなたがSafety Certificateを準備する義務はありません。しかし、引き渡し後に「すぐに故障した」「売却時に問題を隠していたのではないか」と買い手に疑われるリスクを減らすため、取得を検討する価値があります。
私は買い手が決まった後、売却の前日にCanadian TireでSafety Certificateを取得しました。車を持ち込み、約1時間で検査が完了し、証明書を発行してもらいました。費用は検査と発行手数料を合わせて約150ドルでした。これにより、買い手にも安心感を提供できたと感じています。
ディーラーに売却する場合のSafety Certificateの扱い
ディーラーに車を売却する場合、「Safety Certificateがないと引き取れない」と言われることがあります。一方で、Safety Certificateがなくても引き取ってくれるディーラーも存在します。
ただし、Safety Certificateなしでディーラーに売却した場合、買い取った車は「As Is(現状のまま)」の状態で再販される可能性があります。
As Is車両の注意点
ディーラーからAs Isの車を購入する場合、購入後に道路に出る前にSafety Certificateを取得する必要があります。
購入時にディーラーでSafety検査を依頼することも可能ですが、その際に発覚した不具合は購入者の負担で修理することになります。特にAs Isで販売される車は、購入後にどのような問題が出るか予測がつかないため、注意が必要です。
売り手が決まったら? 必要な書類
Green Cardを準備
売却手続きに必要な主な書類は、通称「Green Card」と呼ばれる書類です。実際に売るとなったら、売り手(あなた)がサインをし、Green Cardを買い手へ渡します。サインの場所は画像の右下です。
サイン済みの書類をServiceOntarioへ持っていけば、車の売却自体は終わりとなります。売り手と買い手とが一緒にService Ontarioへ書類を持っていくのがベストな方法だと思います。
私の場合、時間の都合上、かつ相手が信頼に値すると判断した上で、相手へ持参を願いしました。
Service Ontarioウェブサイトへ飛びます。https://www.ontario.ca/page/change-information-vehicle-permit
買い手は消費税を払うのか?
個人売買では、買い手は消費税を払う必要がありません。これが個人売買の魅力の一つです。
一方、ディーラーから購入する場合、買い手はオンタリオ州13%の消費税(HST)を支払わなければなりません。
この場合の13%は大きいですね。
売り手はナンバープレートの回収
車を売却した後、売り手(あなた)はナンバープレートを回収してください。車からプレートを取り外す作業は、スクリュードライバー1本で簡単にできます。
回収したナンバープレートは、任意でService Ontarioに返却できます。Serivce Ontarioへプレートを返却すると、ナンバープレート登録者(あなたの住所など)がその番号から削除されます。
実際の売却体験
詐欺に注意
買い手から「CARFAX(この会社)以外の会社のFAXを見せて欲しい」と言われた場合、詐欺の可能性があります。CARFAX以外は準備しないと断りましょう。
以前、複数のバイヤーから「(買い手の)お気に入りの会社からFAXを購入して欲しい」とリンク付きで依頼されたことがありますが、全て詐欺でした。
Facebookでは、買い手の過去の評価を確認できます。レビューが悪い場合は、取引を再検討するのも良いでしょう。
交渉のポイント
価格の調整を行う際には、「これくらいで売れたら嬉しいな」という価格と「これ以下だと売らない、交渉決裂」という価格を念頭に置きつつ、適切な範囲で譲歩することがポイントです。
買い手の多くは、設定した価格を無視し、率直に「最終価格はいくらになるか?」「半額はどうか」と質問してきます。ここでの交渉が重要で、柔軟かつ戦略的に対応することが求められます。
また、前文で書いたように、個人売買では、Safety Certificateの取得は義務ではありません。そのため、この費用を誰が負担するかは交渉次第です。買い手に取得費用を負担してもらうように交渉することもできますし、逆に自分で取得して車の価値を高めることも選択肢の一つです。
詐欺も混ざっているので気をつけてください。
よく聞かれた質問
中古車の取引では、買い手から様々な質問が寄せられます。以下はよくある質問の例です:
Q: 燃費効率(Fuel Efficiency)はどれくらい?
購入者は車の燃費性能について詳しく知りたがります。市街地や高速道路での具体的な燃費を教えてあげると良いでしょう。車のディスプレイに表示されていることが多いです。
私は、「月に⚫︎⚫︎キロ走行して、ガス代は⚫︎⚫︎円」だったなどと答えていました。
Q: 部品はすべて買ったままのものを使っている?
購入者は、車に交換された部品があるかどうかを知りたがります。全てGenuineパーツ(買ったときそのままの部品)なのか、交換履歴があれば答えましょう。
私は、「ACスイッチ」と「コンプレッサー」を交換していたので伝えました。また、それらの部品はあくまでも同じモデルで年式の異なる廃車から持ってきた部品(Genuine)であることを伝えました。
Q: 冬用タイヤ持ってる?リム付き?無し?
カナダの厳しい冬を考慮し、冬用タイヤの有無やそれがリム付きかどうかもよく聞かれます。ちなみに、リム(rim)は、自動車のホイールの外周部分を指します。「リム付きのタイヤ」という表現は、タイヤがホイール(リム)に装着された状態で提供されることを意味します。
リム付きは、特に冬用タイヤなど季節ごとにタイヤを交換する際に便利です。リムがないタイヤは、交換の際に別途リムに取り付ける必要があり、その分手間がかかります。
Q: 他に懸念点ある?
購入者は、見逃しやすい問題や将来的なメンテナンスの必要性について心配します。過去の事故歴、修理歴、現在の車の状態、メンテナンス記録について誠実に伝えましょう。
まとめ
今回は車の売り方について紹介しました。CARFAXレポートを提供することで、買い手に安心感を与えることができます。また、Safety Certificateを取得することで、取引後のトラブルを防ぐことができます。これらの準備をしっかり行うことで、スムーズかつ安全な取引が可能になります。個人売買では、買い手が消費税を払う必要がないため、より魅力的なオプションとなります。売却手続きに必要な書類やナンバープレートの回収も忘れずに行いましょう。