カナダでのホームステイをした時、週に1回しか洗濯できないと知らされ驚きました。1週間分の服を準備しないといけないし、汚れた服を何日も放置したくなかったのが本音です。
週1回という使用制限には、電気料金が大きく関係していると思っています。今回は、なぜホームステイでは洗濯が週1回なのか、オンタリオ州の電気料金の説明とともにお話ししていきたいと思います。
カナダは、使用する時間帯または休日によって電気料金が変わります。このことを知った時は、大変驚きました。
目次
オンタリオの電気料金システム
オンタリオ州の電気料金システム
まずここでは、オンタリオ州(トロント)の電気料金のシステムについて解説していきます。大きく分けて、電気料金は3つのプランがあります。
- 時間帯別料金(Time-of-Use Pricing):使用時間に応じて料金が変わる。ピークタイムは高く、オフピークタイムは安い。
- 超低夜間料金(Ultra-Low Overnight Pricing):夜間の使用に対して非常に低い料金が適用される。
- 一定料金制(Tiered Pricing):使用量に応じて料金が変わる。多く使うほど高くなる。
消費者に電力使用の分散を促すことで、ピーク時の電力需要を抑制し、電力供給の安定性を維持するために導入されています。参照元:Ontario Energy Board
多くの家庭は「時間帯別料金制(Time-of-Use: TOU)」プランに加入していると思います。
1. 時間帯別料金制(Time-of-Use: TOU)
時間帯別料金は、電力の使用時間に応じて料金が異なるプランです。通常、電力需要が高い時間帯(ピークタイム)には料金が高く、需要が低い時間帯(オフピークタイム)には料金が安く設定されます。
- ピーク時間帯(オンピーク: On-Peak): 電力需要が最も高い時間帯で、料金も最も高く設定されている。
- 中間時間帯(ミッドピーク: Mid Peak): 電力需要が中程度の時間帯で、料金はピーク時間帯とオフピーク時間帯の中間に設定されている。
- オフピーク時間帯(オフピーク: Off-Peak): 電力需要が最も低い時間帯で、料金が最も安く設定れている。
これにより、消費者は電力使用をピーク時間帯からオフピーク時間帯にシフトさせるインセンティブを持ち、全体の電力需要のバランスを取ることができます。夏と冬とで時間帯とその金額が変わります。
- 夏時間:May 1 to October 31
- 冬時間 :November 1 to April 30
電気をたくさん消費する家電は、平日夜7時以降から使い始めるのが良さそうですね。週末だと時間帯に関わらず安いので、週末にまとめて行うのも良さそうです。
オフピークとオンピークとでは、料金に倍以上の差がありますね。電気自動車をお持ちの方は、平日夜7時以降、または休日に充電するのが良さそうですね
2. 超低夜間料金制(Ultra-Low Overnight Pricing)
超低夜間料金制は、深夜から早朝にかけての時間帯に特に低い料金を提供することで、消費者がこの時間帯に電力を使用することを奨励するプランです。
- 超低夜間料金: 通常、深夜から早朝(例えば午前12時から午前6時)の間に適用され、非常に低い料金が設定されています。
- その他の時間帯の料金: 日中や夕方の時間帯は通常の「TOU料金」が適用されますが、超低夜間料金に比べて高めに設定されています。
夜11時以降から早朝にかけて電化製品を使用する場合は、このプランは良さそうですね。
深夜に限って言うと、「1. 時間帯別料金制(Time-of-Use: TOU)」よりもかなり安い料金だとわかります。
3. 一定料金制(Tiered Pricing)
毎月一定量の電気を安い価格で使用することができます。その基準値を超えると、より高い料金が適用されます。
夏と冬とで基準値が異なります。
ホームステイにおける洗濯の頻度制限の理由
電気料金の節約
洗濯機、特に乾燥機の使用は電力消費が大きいため、ピーク時に行うと家計への負担が大きくなります。そのため、多くのホストファミリーでは「週に1度だけ」と洗濯制限を設けて電気代の節約に努めているのでしょう。
家事の負担軽減
ホームステイにおいては、ホストファミリーにとって、洗濯と乾燥の頻度を「週に1度だけ」と制限することで家事管理が簡単になります。
またルームシェアでは、通常、洗濯機と乾燥機は一家に一台ずつ置かれており、複数の住人が共有する場合、洗濯機の利用が均等になり、利用しやすくなります。
私の体験では、ホストファミリーが使用済みの洗濯物を回収し、洗濯から乾燥までを全て行なっていました。
電気代を節約するには?
オフピーク時間の活用
電気料金が安いオフピーク時間帯に洗濯や食器洗いを行うようにしましょう。
「1. 時間帯別料金制(Time-of-Use: TOU)」と「2. 超低夜間料金制(Ultra-Low Overnight Pricing)」であれば、夜7時〜翌朝7時まで、さらに週末全ての時間帯が安くなります。
食洗機を使う時間は、必ず夜7時以降と決めています。昼と夜とで、料金が倍以上も違ってくるため、「何時から使うか?」という時間帯への意識は大事だと思います。
エネルギー効率の高い家電の使用
省エネ性能の高い洗濯機や乾燥機を使用することで、消費電力を抑えることができます。
自然乾燥の利用
可能であれば、洗濯物を自然乾燥させることで、乾燥機の使用を減らすことができます。
日本のような物干し竿はないので、折りたたみ式の物干し竿を使っています。また、乾燥機を使う場合は、もちろん夜もしくは、週末に限っています。
まとめ
カナダの「週1回の洗濯」には戸惑いました。しかし、カナダで数年過ごすうちに、電気料金の面から、その制限が理にかなっていることを理解しました。カナダでの生活を通じて、異なる文化や環境がもたらす日常の変化を学び、受け入れることの大切さを感じました。