カナダでは、自動車保険は法的に義務付けられています。どの州でも、少なくとも最低限の保険カバレッジを持つことが求められます。これは、事故や損害が発生した際に、被害者に対して最低限の補償を保証するためのものです。
自動車保険のない車両の運転は違法であり、罰金や違反点数、場合によっては運転免許の剥奪などの厳しい処罰を受ける可能性があります。
ここでは、私の実体験をもとに、オンタリオの自動車保険について詳しく見ていきたいと思います。
ちなみに、発行された保険契約書は、一般的にPINK SLIPと言われることが多いです(車を売る時に使ったカードはGreen Cardです)。
目次
自動車保険の内容と費用
必須の保険内容
オンタリオ州では、自動車保険は必須です。具体的には、以下の4種類の内容が義務付けられています:参照元はこちら
- 第三者責任保険(Third-Party Liability Insurance): 他人の身体や財産に対する損害を補償します。
- 事故による損傷・治療費(Accident Benefits Coverage): ドライバーや同乗者の治療費や収入の喪失を補償します。
- 無保険車両カバレッジ(Uninsured Automobile Coverage): 無保険の車両により被害を受けた場合に適用されます。
- 直接補償-物的損害(Direct Compensation-Property Damage, DCPD): 事故で他の車両や物に損害が生じた場合、自分の保険会社が補償します
車をファイナンスやリースで買う場合、融資先から保険額の指定があるかもしれませんので、確認しながら行ってください。Liabilityは⚪︎⚪︎ドル以上、Deductable amountsは⚪︎⚪︎未満など金額を指定される場合があります。
自動車保険料は高額
自動車保険の金額は、個々人の使用目的、過去の運転経歴によりさまざまです。
カナダで自動車を運転するには、自動車保険への加入が義務付けられていますが、そもそもカナダの自動車保険料は異常なほど高額なのが実情です。
さらに、2023年から2024年にかけて、インフレと自動車盗難の増加により自動車保険は値上げされました。参照元はこちらのCBC記事
私の保険料推移
保険を購入する際、オンラインにある一括見積もりを行いました。結果、TDが一番安かったです。他の企業では、8000ドルという見積金額も出てきました。以下が過去3年の推移となります。
- 保険加入1年目: 約4,900ドル
- 保険加入2年目: 約4,745.32ドル(車 4,357.93、家 387.39)
- 保険加入3年目: 約4,635.6ドル(車 4,193.82、家 441.78)夫の保険に入るため解約
当時の私の年間走行距離は15,000kmとかなり走っていました。
TDの支払い方法として、年間保険料を契約した後、クレジットカード「12ヶ月支払」、「11ヶ月支払」、「一括支払」から選ぶことができます。月払を選んだ場合、追加で1.3%の手数料を支払わなければなりません。
次に、保険料を決めるその要因について説明していきます。
保険料の決定要因
自動車保険の値段は、さまざまな要因に基づいて計算されます。これには以下が含まれます。
- 車両の年式と価値
- 運転者の運転履歴
- 居住地の地域
- 車両の使用目的
運転者の運転履歴
無事故無違反かつ長い運転経歴があると、年間保険料は安くなる傾向にあります。また、年間走行距離が短くなればなるほど、保険料は安くなる傾向にあります。
日本の運転経歴はカナダで反映されるか?
日本の無事故無違反証明書がカナダの運転経歴に加味され、保険料の割引の対象になるか否かは、保険会社によって異なります。
東京海上日動など、日系の保険会社だと考慮されるかもしれませんが、TDなどカナダの保険会社では、質問すらされませんでした。
私は日本で約10年間運転の経験がありますが、カナダでTDの保険に加入する際は、その実績は反映されず、割引の対象にはなりませんでした。
日本にいた頃の保険は「個人名義」である必要があります。法人名義だと、無事故無違反証明の経歴としては使えないかもしれません。例えば、会社から社用車を貸与され、会社が保険料などを含む全ての費用を支払っていた場合は、法人名義の可能性が高いと思います。
居住地域の犯罪率と保険料
地域の治安が保険料に与える影響は大きいと考えられます。保険会社は、車両の盗難や破損のリスクを考慮して保険料を設定するためです。
私が住んでいる地域は、車上狙いが多いことで知られており、このような地域に住んでいると、保険料が高くなる傾向があります。
車種と年式による影響
一般的に、中古車は新車や高級車に比べて保険料が低く設定されます。特に、高級車は修理費用が高額になるため、保険料も高くなる傾向があります。そのため、保険料を抑えたい場合は、車種と年式の選択が重要です。
私が所有していた車は中古車で(2011年)、これは保険料にプラスの影響を与えました。
年齢と性別による保険料の違い
若年男性ドライバーは保険料が高くなる傾向があります。これは、免許取り立てで運転経験が少なく、スピードの出しすぎによる事故などの確率が高いとされているためです。
保険会社はリスクを評価し、統計に基づいて保険料を設定します。そのため、若い男性ドライバーは慎重な運転を心がけ、無事故の実績を積み重ねることが重要です。
保険料を少しでも抑える対策
私は2年半前にカナダの運転免許を取得し、自動車保険は年間5000ドルからのスタートでした。一方、カナダ運転歴約10年である私の旦那はというと、現在年間約2000ドルの支払いです。自動車保険料が異常に高額なカナダでは、以下の対策が重要になります。
無事故・無違反期間を長くする
安全運転を心がけ、無事故・無違反期間をできるだけ長く維持することで、保険料を下げることができる場合があります。
自動車と住宅の同時加入で割引を受ける
複数の保険を一緒に加入することで、割引を受けることができる場合があります。
TDで保険を購入した際、自動車と住宅の同時加入をしました。車単体の年間保険料よりも、同時加入の方が安くなったからです。そうでなければ、住宅保険には入っていなかったと思います。
冬用タイヤに変える
冬季の安全性を高めるために、保険会社が指定する期間雪タイヤを装着することで、保険料を割引してもらえる場合があります。
冬用タイヤを履かなければならない期間は、保険会社によって異なります。TD保険の場合は12月から3月までの期間でした。
冬用タイヤへの交換が任意ではなく、義務である(そうでないと万が一の際に保険が降りない)保険もあると聞いたことがあります。そのため、事前に加入する保険会社のポリシーを確認してください。
運転をモニタリングするアプリを使用する
保険会社が提供する運転モニタリングアプリを使用することで、安全運転の実績を記録し、割引を受けることができる場合があります。
このアプリは制限速度や急ハンドルを切った時などを記録し、通知を送る仕組みです。保険会社は、このアプリを通じて安全運転のドライバーを確認し、翌年以降に追加の割引を提供することがあります。
私自身は、モニタリングされることが嫌で、このアプリを使用しませんでした。もし使用していたら、保険料が追加で15%ほど安くなっていた可能性があります。
適切な車種を選ぶ
保険料を抑えるためには、車種や年式を慎重に選ぶことが重要です。高級車やスポーツカーは保険料が高くなる傾向があるため、経済的な車を選ぶことが賢明です。
保険会社の比較と更新手続き
保険契約を更新する際には、他の保険会社の見積もりを取り、保険料やカバレッジを比較することが重要です。以下では、保険会社の比較と更新手続きについて詳しく見ていきましょう。
更新時の再評価と比較
保険契約を更新する際には、現在の状況やニーズに合わせて保険プランを再評価することが不可欠です。他の保険会社からも見積もりを取り、保険料やカバレッジを比較することで、より適切なプランを選択できます。
乗り換えの検討
他の保険会社に乗り換えることで、より良い条件で保険を契約できる場合があります。保険料の削減や、より適切なカバレッジの提供など、利点があるかもしれません。TDの場合、契約終了2ヶ月前になると、ウェブサイト上で翌年の契約金額を確認できます。
私は、更新金額が提示された場合でも、一旦解約し再度見積もりを取得していました。そうすることで、より良い条件で契約できると思ったからです。
期中での見直し
期中においても、生活環境や車両の使用状況によって、保険のカバレッジを適切に見直すことが重要です。ここでは、期中におけるカバレッジの見直しについて、その方法と効果について考えてみましょう。
運転のない期間の対応:Store your vehicle (suspend your coverage)
保険期間中に運転しない期間が発生した場合は、保険会社に連絡してカバレッジの一時停止を申請することができます。これにより、その期間中は保険料を一部だけ支払うことで済み、無駄な支出を避けることができます。
Store your vehicle (suspend your coverage)
私は日本へ3ヶ月帰国していた際にTDの一時停止(Garage車庫へ入れる)を利用しました。その場合、月間費用の3割の金額のみ請求されたことを覚えています。
TDの場合、45日以上乗らない場合にこのStore your vehicle (suspend your coverage)が適応可能です。
TDの場合、保険会社との連絡や手続きは、オンラインでも可能です。これにより、電話や郵送などの手間を省き、スムーズにカバレッジの見直しを行うことができます。
一時停止から再開時の手続き
運転再開の際には、事前に保険会社へ連絡し、運転再開の日付を伝える必要があります。これにより、保険の有効性を保ちながら、適切なカバレッジを確保することができます。
TDの場合、こちらもオンラインで済ませることができました。
結論
カナダの自動車保険は、所有者や運転者が責任を果たし、必要な保護を提供することを目的としています。保険料やカバレッジは個々の状況やニーズによって異なるため、慎重な検討が必要です。保険契約を選択する際には、自身のニーズと予算に最適なオプションを検討し、適切な保護を確保することが重要です。また、保険料を少しでも抑えるためには、上記の対策を実行することが有効です。安全運転を心がけ、保険会社の提供する割引をうまく活用することで、コストを削減しながら必要な保護を確保することができます。