先日、カナダのスーパーであるFarm Boyで買い物をし、合計180.92ドルを支払いました。内訳としては、食品代が180.01ドルで、HST(日本でいう消費税)はわずか0.91ドルでした。
オンタリオ州では、通常13%のHSTを支払う必要がありますが、すべての商品に対して一律に適用されるわけではありません。レシートを詳しく見ると、HSTが適用される商品とされない商品があることがわかります。
今回は、どのような場合に13%のHSTを支払う必要があるのか、具体的な事例を通じて詳しく見ていきたいと思います。
目次
オンタリオ州の消費税(HST)の概要
HSTの構成
カナダのオンタリオ州では、消費税はHarmonized Sales Tax(HST)として知られています。HSTは、連邦政府のGoods and Services Tax(GST)と州のProvincial Sales Tax(PST)を統合したもので、合計税率は13%です。HSTは2010年7月1日に導入されました。
- GST(Goods and Services Tax): 5%
- PST(Provincial Sales Tax): 8%
- 合計HST: 13%
HSTは、ほとんどの消費財やサービスに適用されますが、特定の生活必需品や医療サービスなどは非課税または軽減税率が適用されることがあります。
HST導入の背景
HSTの導入は、行政の効率を向上させ、企業の事務手続きを簡素化し、全体的な運営コストを削減することを目的としています。これにより、税務コンプライアンスの向上や経済の活性化が図られています。具体的な導入理由としては、次のような点が挙げられます。
- 行政効率の向上: 税の徴収と管理を一元化することで、政府の運営コストが削減されます。
- 企業の負担軽減: 企業は複数の税務報告書を提出する必要がなくなり、事務手続きが簡素化されます。
- 消費者の利便性: 消費者にとっても、複数の税率を意識する必要がなくなり、買い物の際の税計算が簡単になります。
カナダのその他の州の消費税
カナダの各州および地域によって消費税の仕組みや税率は異なります。以下に、主要な州および地域の消費税率を示します【Canada Revenue Agency】。
州/地域 | GST (%) | PST (%) | HST (%) | 合計税率 (%) |
---|---|---|---|---|
アルバータ州 (Alberta) | 5 | – | – | 5 |
ノースウエスト準州 (Northwest Territories) | 5 | – | – | 5 |
ヌナブト準州 (Nunavut) | 5 | – | – | 5 |
ユーコン準州 (Yukon) | 5 | – | – | 5 |
オンタリオ州 (Ontario) | – | – | 13 | 13 |
ニューブランズウィック州 (New Brunswick) | – | – | 15 | 15 |
ニューファンドランド・ラブラドール州 (Newfoundland and Labrador) | – | – | 15 | 15 |
ノバスコシア州 (Nova Scotia) | – | – | 15 | 15 |
プリンスエドワードアイランド州 (Prince Edward Island) | – | – | 15 | 15 |
ブリティッシュ・コロンビア州 (British Columbia) | 5 | 7 | – | 12 |
マニトバ州 (Manitoba) | 5 | 7 | – | 12 |
ケベック州 (Quebec) | 5 | – | – | 約14.975 (GST 5% + QST 9.975%) |
サスカチュワン州 (Saskatchewan) | 5 | 6 | – | 11 |
課税対象品目と非課税品目
HSTは多くの消費財やサービスに適用されますが、一部の品目は非課税または軽減税率の対象となります。以下に、具体的な非課税品目と課税対象品目の例を挙げます。
課税対象品目(Taxable Supplies)
課税対象となる品目は広範囲にわたり、以下のような消費財やサービスが含まれます:
- 新築住宅の販売
- 商業用不動産の販売および賃貸
- 自動車の販売およびリース
- 自動車修理
- ソフトドリンク、キャンディー、ポテトチップス
- 衣類および履物
- 広告(非居住者でGST/HST登録していない場合を除く)
- タクシーおよび商業ライドシェアリングサービス
- 法律および会計サービス
- フランチャイズ
- ホテルの宿泊
- 理髪および美容サービス
大きな買い物の際の13%は負担が大きいですよね。
非課税品目(Zero-rated Supplies)
非課税品目は、消費税が全くかからない品目です。主に基本的な生活必需品が該当します。以下はその代表的な例です。
- 基本的な食料品(牛乳、パン、野菜など)
- 農産物(穀物、生羊毛、乾燥タバコの葉など)
- ほとんどの家畜
- ほとんどの漁業製品(人間の消費用の魚など)
- 処方薬および薬の調剤サービス
- 特定の医療機器(補聴器、人工歯など)
- 生理用品
- 輸出(ほとんどの財およびサービスはカナダでGST/HSTが適用され、輸出時にはゼロ税率が適用されます)
- 多くの輸送サービス(出発地または目的地がカナダ国外の場合)
基本的な食料品とは具体的に何を指すのか、次にみていきたいと思います。
基本的な食料品とは何を指すのか?
基本的な食料品は、消費税がかからない非課税品目に分類されます。カナダ歳入庁(CRA)のガイドラインに基づき、以下の食品は非課税とされています【Canada Revenue Agency: Basic Groceries】:
- 牛乳と乳製品: 牛乳、バター、ヨーグルト、チーズなど。
- パンとパン製品: パン、ロールパン、ベーグル、ピタパンなど。
- 穀物と穀物製品: 米、パスタ、シリアル(無糖のもの)など。
- 生鮮食品: 新鮮な果物と野菜。
- 肉類と魚介類: 鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉、魚(冷凍および新鮮)、貝類など。
- 卵と卵製品: 卵そのもの。
- 飲料: 100%の果汁飲料、水(炭酸水および非炭酸水)、コーヒー豆、茶葉など。
- その他: ナッツ、種子、乾燥豆、レンズ豆、はちみつ、メープルシロップなど。
最低限の食品に消費税がついていないのはありがたいですね!
スーパーでの課税対象と非課税対象の見分け方
スーパーのレシートでは、課税対象と非課税対象の商品を見分けるためには、いくつかのポイントに注意する必要があります。多くのレシートでは、課税対象と非課税対象の区別が明確に表示されています。
税金の表示
課税項目の表示
レシートの項目ごとに税金が適用されているかどうかが示されている場合があります。以下の点に注意してください:
- 税コード: 各項目の横に「T」や「TX」などの税コードが表示されることがあります。これが課税対象を示しています。
- 税金の合計欄: レシートの下部に「HST」や「Tax」として税金の合計が表示されます。
非課税項目の表示
非課税項目は通常、税コードが付いていないか、「NT」や「0%」などと表示されることがあります。
合計金額の内訳
課税対象の品目と非課税の品目がそれぞれ別々に表示されることもあります。レシートの下部に「Taxable Items」と「Non-Taxable Items」として区分されていることがあります。
スーパーでのレシートの例
例1: 税コードが表示されているレシート
Item Price Code
---------------------------------
Bread $2.50 NT
Milk $3.00 NT
Chocolate Bar $1.50 T
Apple $0.75 NT
Soft Drink $1.25 T
---------------------------------
Subtotal $9.00
HST (13%) on T $0.36
---------------------------------
Total $9.36
この例では、課税対象の品目(Chocolate Bar, Soft Drink)の横に「T」が表示されており、非課税の品目(Bread, Milk, Apple)の横には「NT」が表示されています。
例2: 税金が合計欄に表示されているレシート
Item Price
---------------------------------
Bread $2.50
Milk $3.00
Chocolate Bar $1.50
Apple $0.75
Soft Drink $1.25
---------------------------------
Subtotal $9.00
HST (13%) on taxable items: $0.36
---------------------------------
Total $9.36
この例では、税金が適用されている品目が明示されていませんが、レシートの合計欄に「HST (13%) on taxable items: $0.36」として表示されています。
例3: 税金込みの表示があるレシート
Item Price
---------------------------------
Bread $2.50
Milk $3.00
Chocolate Bar $1.50 (Tax Included)
Apple $0.75
Soft Drink $1.25 (Tax Included)
---------------------------------
Total $9.36
この例では、課税対象の品目には「(Tax Included)」と表示されています。
レストランの料理とHST
カナダのオンタリオ州において、レストランの料理は課税対象です。具体的には、レストランで提供される食事や飲み物にはHSTが適用されます。現在の税率は13%です。
課税対象の例
- レストランでの食事
- テイクアウトの食事
- デリバリーの食事
- アルコール飲料
- カフェやベーカリーでの飲食
例外として、一部の軽食や特定の条件を満たす食品は非課税となる場合があります。詳細な例外規定については、カナダ歳入庁(CRA)の公式サイトを参照してください。
レストランのレシートの確認ポイント
レストランのレシートでは、消費税が適用されているかどうかを確認するために、以下のポイントに注意してください。
税金の明細
ほとんどのレストランのレシートには、合計金額とは別に税金の詳細が記載されています。次の点を確認してください:
HST: レシートに「HST」や「税(Tax)」として記載されている部分があります。例えば、次のように表示されます。
- HST: $1.30
- Tax: $1.30
税金が明示されていない場合、合計金額が食事の合計金額に13%のHSTを加えた金額と一致するか確認します。例えば、食事代が$20.00の場合、税金を含めた合計は以下のようになります。$20.00 × 1.13 = $22.60
レシートの例
例1: 税金が明示されているレシート
Item Price
---------------------------
Burger $10.00
Fries $5.00
Drink $3.00
---------------------------
Subtotal $18.00
HST 13% $2.34
---------------------------
Total $20.34
例2: 税金込みのレシート
Item Price
---------------------------
Burger $11.30
Fries $5.65
Drink $3.39
---------------------------
Total $20.34
(Tax Included)
レシートの下部に「税金込み」(Tax Included)や「税金別」(Tax Excluded)などの注釈が記載されている場合があります。これも税金が含まれているかどうかを判断する手がかりとなります。
例3: 税金別のレシート
Item Price
---------------------------
Burger $10.00
Fries $5.00
Drink $3.00
---------------------------
Subtotal $18.00
---------------------------
Total $20.34
(Tax Excluded)
まとめ
カナダのオンタリオ州では、Harmonized Sales Tax(HST)が適用される品目と非課税品目の区別が明確にされています。レストランの料理は基本的に課税対象であり、スーパーでの購入品も多くが課税対象となりますが、生活必需品や特定の条件を満たす品目は非課税となります。レシートから課税対象を見分けるためには、税コードや合計金額の内訳、非課税項目の表示などに注意することが重要です。レシートの形式は店舗によって異なる場合がありますが、これらのポイントを確認することで、税金がどの品目に適用されているかを把握することができます。必要に応じて、カナダ歳入庁(CRA)やオンタリオ州政府の公式サイトを参照してください。